人間がその知恵を働かせるということは国家や社会のためである。
だがそこには人間としての「道」がなければならない。
電信を設け鉄道を敷き蒸気仕掛けの機械を造る。
こういうことは、たしかに耳目を驚かせる。
しかし、なぜ電信や鉄道がなくてはならないのか、といった必要の根本を見極めておかなければ、いたずらに開発のための開発に追い込まわされることになる。
まして、みだりに外国の盛大を羨んで利害損得を論じ家屋の構造から玩具にいたるまで、いちいち外国の真似をして贅沢の風潮を生じさせ、財産を浪費すれば国力は疲弊してしまう。
それのみならず、人の心も軽薄に流れ結局は日本そのものが滅んでしまうだろう。